エトモ半島に棲む
ハヤブサの情報
大きさ | くちばしから尾の先までの長さ : 雄(おす)42cm、雌(めす)49cm |
翼(つばさ)を広げたときの幅 : 84〜120cm | |
鳴き声 | キィー、キィー、 ケーッ、ケーッ、 キャッ、キャッ など |
特 徴 | ・他のワシタカと異なり、翼の先がとがっている。 ・羽ばたきが速く、飛ぶスピードも速い。 ・ほほの部分に、ひげのように見える黒い 模様がある。 |
繁 殖 | 1月中旬 求愛行動が始まる。雌(めす)が雄(おす)に対して「キィー、キィー」と盛んに鳴いて餌(えさ)を 要求し、雄はこれに応えて獲物(えもの)をとらえ、プレゼントする。 3月 交尾をするようになる。 3月下旬〜4月 南向きの断崖(だんがい)の岩棚(いわだな)に巣をつくる場所を決め、巣の材料は使わず、 直接地面に3〜4個の卵を産む。雌が主に卵を温め、雄は上空を飛び回って外敵(がいてき) から巣を守り、雌のために獲物をとらえて運んでくる。 5月 ヒナが誕生する。 雌は巣でヒナを守り、雄はヒナと雌のため鳥類などをとらえて運んでくる。 ヒナが大きくなってくると、雌も獲物を求めて飛び立つようになる。 6月中旬〜下旬 ヒナが成長し、1つの巣から平均1〜2羽が巣立ちする。産んだ卵すべてがかえり、すべて のヒナが無事に巣立つことはめったにない。 巣立った若鳥は1日中「ギィー、ギィー」と鳴きながら、餌(えさ)を求めて親鳥を追いかける。 その後、約2か月で急降下、急旋回などの飛行技術や狩りのしかたを身につけて親から 独立していく。 8月下旬 エトモ半島ではハヤブサの若鳥の姿はほとんど見られなくなる。この場所で新しくなわばり をつくることはできず、渡り鳥の南下とともに本州方面へ移動する。 |
狩 り | ハヤブサはなわばり内にある見張り場で、鳥が 海上に飛び出すのをじっと待つ。たとえ海上 数キロ先でも獲物の鳥を見つけると一直線に 突進し、獲物に近づくと上昇し、次に急降下して 時速200キロ〜300キロのスピードで体当たり するように後爪(つめ)でけり落とす。これで獲物 は即死(そくし)か失神状態になり、ハヤブサは これを再び空中でキャッチする。 雄と雌が協力して1羽の獲物をとらえることも ある。しかし、狩りは常に成功するわけではなく、 観察データからみると5回に1回くらいの成功 率である。 10月にはいると、南へ渡る途中のヒヨドリが道内各地から集まってきて、数十羽から数百 羽、ときには数千羽にもなる大きな群を作り、それらの一部はエトモ半島のあちこちから 対岸の駒ヶ岳方面に向かって飛び立つ。この時を待っていたハヤブサもねらいを定めて 岩棚から飛び立ち追撃(ついげき)にうつる。 ヒヨドリの群もハヤブサの襲撃(しゅうげき)は十分知っていて、海上に出たり陸に戻ったり をくり返しながら、最終的に飛び出すチャンスをうかがう。対岸に向け飛び立った群は、ハヤ ブサの急降下攻撃(こうげき)を避(さ)けるように海面すれすれのところを必死で飛んでいく。 狩りに成功して、なわばりの食事場へ獲物を運んでくると、まず首を食いちぎって息の根を 止める。それから栄養のある内蔵(ないぞう)を引き出して食べ、次に羽毛をむしり取ってから 肉の部分を食べる。 |
獲 物 | ハヤブサの餌(えさ)となる獲物(えもの)は大部分が小型、 中型の野鳥であり、食べ残した部分は岩のすき間などに 隠(かく)しておく習性(しゅうせい)がある。 <春> 北海道よりも北の繁殖地(はんしょくち)に向かってカモ類、 シギチドリ類、カモメ類などが室蘭の海岸にそって北上して いく。また、本州や、はるか南方で冬を過ごした他の多くの 野鳥が繁殖のため北海道へ渡ってくる。エトモ半島はこれら 渡り鳥の重要な中継地となっており、ハヤブサにとっては 獲物の豊富な時期である。 <夏> 海岸地域に生息するカモメ類などの海鳥やエトモ半島の森にすむ小鳥を餌としている。 <秋> エトモ半島は繁殖を終えて南下する様々の渡り鳥たちでにぎわう。これらの野鳥がこの 時期ハヤブサの絶好の標的となるが、その中でも10月から11月にかけてはヒヨドリが 主要な獲物となっている。 <冬> エトモ半島の森で越冬する少数の野鳥と、北方から渡ってきて海岸や河口で越冬する カモ類、カモメ類など海鳥が主な獲物となるが、春秋に海上を通過する鳥たちと異なり、 これらの鳥はそうたやすく捕(と)らえることはできない。冬は一般の小鳥たちだけでなく、 ハヤブサにとっても生きていくうえで厳(きび)しい季節である。そのせいか、街中にドバトを ねらって姿を現すこともある。 |